公開: 2024年3月27日
更新: 2024年7月31日
2016年12月14日、文部科学省は、「義務教育の段階における普通教育の機会の確保に関する法律」を公布しました。この法律は、教育基本法や、児童の権利に関する国際条約等の主旨に則(のっと)り、教育機会の確保を定めるために発せられました。つまり、公立小中学校や義務教育学校において、一定期間、学校を欠席する児童生徒で、学校における集団での生活に心理的な負担等の理由で、通学が困難な状況にある人々に対して、十分な義務教育を受ける機会を提供できるよう、支援をする必要性を定めた法律です。
この法律では、全ての児童生徒が、豊かな学校生活を送り、安心して授業を受けられるように、学校における学習環境の確保を保証するように要請しています。そこでは、不登校児童生徒に対しては、多様な学習環境を整え、その多様な学習環境での学びに必要な支援を提供することが求められています。つまり、義務教育の段階で、普通教育に相当する教育を十分に受けていない児童生徒の意志を尊重して、その年齢や国籍などの事情に関係なく、その能力に応じた教育を受けられる機会を確保しなければなりません。そして、不登校の児童生徒でも、その教育を受けた人が、社会で自立した人間として生きるための基礎力を、培(つちか)うことができるようにしなければなりません。
国や地方公共団体は、不登校児童生徒に対する支援を、上に述べたような目的や原則に従った、財政的な支援等を提供しなければなりません。
望月由紀著、不登校論の研究: 本人・家庭原因説と専門家の社会的責任、批評社(2018)